
― クーリングオフで契約を取り消せる場合もあります ―
「無料で点検します」と訪問してきた業者から、突然高額な工事や商品を勧められる「点検商法」が問題になっています。
いわゆる訪問販売です。ネット全盛の時代に訪問販売なんて・・・と思うかもしれませんが、点検商法を行っていて建設業法違反で逮捕された「スーパーサラリーマン清水」こと清水謙行容疑者が率いたグループでは、同様の手口で5年で約100億円もの売上をあげていたと報じられています。
点検商法とは?
点検商法とは、「近所で工事していた」「無料で点検中です」などと突然訪問し、住宅の不具合をでっち上げて不安を煽り、不要な修理やリフォーム工事を契約させる手口です。
典型的な手口と契約までの流れ
以下は、よくあるパターンです。
① 突然の訪問
「このあたりで工事していたんですが、お宅の屋根が少し浮いているのが見えまして…」
「無料で点検しているので、5分だけ見させてもらえますか?」
→ 善意を装い、断りにくい雰囲気を作ります。
② 点検後の不安あおり
「屋根の一部がめくれています。このままだと雨漏りになります」
「シロアリの痕跡があります。柱が腐ってしまうかもしれません」
「基礎部分にヒビがあります。地震が来たら倒壊する恐れが…」
→ 実際には問題がない場合でも、専門用語を交えながら不安をあおってきます。
③ すぐに工事を提案
「今すぐ工事すれば10万円割引できます」
「今日なら職人が空いてるので、すぐに始められます」
「お宅の安全が第一なので、急いだ方がいいです」
→ 緊急性を装って冷静に考える時間を与えず、その場で契約書にサインさせようとします。
④ 契約書へのサイン
「見積書ではありません。正式な契約書ですので印鑑をお願いします」
「とりあえずサインだけしておけば、あとでキャンセルも可能です」
→ こう言われて契約書にサインしてしまうと、正式な契約が成立してしまいます。
よくあるやり取り(会話例)
業者:「今ちょうど近所の屋根工事をしてまして、お宅の瓦がズレてるように見えたんです」
住人:「え、そうなんですか?」
業者:「ちょっと上らせてもらってもいいですか?無料ですし、すぐ終わります」
(点検後)
業者:「これは危険ですね。今すぐ工事しないと、台風で瓦が飛びますよ」
住人:「そんなに大変なんですか…」
業者:「今日中に契約いただければ、特別価格にできます。どうします?」
→ このように、心理的な圧力をかけながら契約へと誘導します。
クーリングオフは可能?
はい、訪問販売であれば契約から8日以内であればクーリングオフが可能です。
書面で通知する必要がありますが、これにより契約を無条件で解除できます。
クーリングオフの際の注意点
- 書面で通知(内容証明郵便などがおすすめ)
- 契約書のコピーややり取りの記録は保管
- 業者からの電話や訪問があっても、毅然と対応する
間違えやすいポイント
- 「無料だから」と油断しない(点検後に高額請求されることも)
- 「今すぐに!」は要注意(冷静に検討する時間が大切)
- 「キャンセルできる」はウソ(書面契約後は正式契約)
まとめ
点検商法は、高齢者を中心に多くの被害を出している悪質な手口です。善良そうに見えても騙す目的で訪問してきます。
というか、善良そうにしていないと契約が取れないので、まぁ必ず善良そうな顔をして近づいてきます。当然ですね。
基本的に、見ず知らずでいきなり訪問してくる業者は営利目的です。そして、わざわざ時間と手間をかけて訪問している訳ですから、どこかでお金にするステップがあるはずです。無料点検と称していても、それはあくまで話のきっかけであって、最初からモノを売りに来ているわけです。
今日のように、ネットで様々な物やサービスが買えたり情報を得られたりするにもかかわらず、わざわざコストのかかる人手を使って訪問営業するのはなぜでしょうか。訪問販売をやっている業者は必然的に高コスト体質でしょうから、どう考えても割高になります。いや、割高で済めばまだいい方で、上述の「スーパーサラリーマン清水」系列のようにぼったくりと言って差し支えない業者が実際に存在しています。
不安を感じたときは、すぐに契約せず、家族や消費生活センターに相談しましょう。契約してしまっても、クーリングオフ制度を使えば取り消せる可能性があります。